九州・西日本支部 2012年度総会・企業セミナー 開催案内


 2012年度の九州・西日本支部総会・講演会を下記のように開催い
たします。支部会員各位は是非ご参加下さいますようお願い申し上
げます。なお、支部会員には別途総会開催案内を電子メールにてお
送りします。ご欠席の場合には必ず委任状をご返送下さいますよう
お願いいたします。

         記

日 時: 2012年4月27日(金)
場 所: 電気ビル北館12階、1207(会議室)
    〒810-8720 福岡市中央区渡辺通2丁目1番82号
    
(1)総会: 14:15〜14:45
    1.2011年度事業報告・決算について
    2.役員交代について
    3.2012年度事業計画・予算について

(2)企業セミナー: 15:00〜17:00
    会員以外の方も聴講いただけます。

   15:00〜16:00
    1.「高エネルギー粒子加速器における超伝導磁石応用の発展と展望」
    高エネルギー加速器研究機構 荻津透氏
   16:00〜17:00
    2.「『国際リニアコライダー』を目指した超伝導技術開発と将来展望」
    高エネルギー加速器研究機構 山本明氏
    
(3)懇親会: 18:00〜
    居酒屋 まる家 西中洲
   住所 :〒810-0002 福岡県福岡市中央区西中洲1-18
   TEL :092-731-2424
   FAX :092-731-2404


問合せ先:公益社団法人 低温工学・超電導学会 九州・西日本支部 事務局
〒819-0395 福岡市西区元岡744
九州大学大学院 システム情報科学研究院
電気システム工学部門 木須研究室内
TEL: 092-802-3678  FAX: 092-802-3677
E-mail: jcryo-qw(at)sc.kyushu-u.ac.jp

当日の報告


九州・西日本支部第11回総会を2012年4月27日(金)午後2時15分より
電気ビル北館12階の1207会議室にて開催した。冒頭、出席者数と委
任状の数より総会が成立していることが報告された。そして議長に川越
明史氏を選出した。圓福敬二支部長の開会の挨拶のあと、続いて議事
として、2011年度事業報告、会計報告、ならびに監査報告がなされ、全
会一致でこれらは了承された。続いて、役員の交代について説明があっ
たのち、2012年度支部事業計画、2012年度予算案が諮られ、それぞれ
全会一致で承認された。
事業計画では、今年度は、外国人特別講演会が6月に九州大学で、
若手セミナーが9月に九重研修所で行われる予定である。

総会に引き続き、午後3時より2名の講演者をお呼びして企業セミナーが
行われた。

今年度は高エネルギー加速器研究機構(KEK)から荻津透先生と山本
明先生に九州に来ていただき、講演をいただいた。司会は鹿児島大学
の川畑秋馬先生で、川畑先生は博士課程の学生の時に山本先生のもと
で研究しており、講演者の紹介を丁寧におこなっていた。

最初に荻津透先生が、「高エネルギー粒子加速器における超伝導磁石
応用の発展と展望」と題して講演をされた。荻津先生はこの3月に社団
法人 未踏科学協会が授与する「第16回超伝導科学技術賞」を受賞
されたばかりであり、その受賞の研究内容も含んで講演をいただいた。
粒子加速器では年々エネルギーが指数関数的に高くなっており、超電
導マグネットの役割が大変大きいことを、さまざまな大型超電導加速器
の例を挙げて説明された。海外の例ではTEVATRON, ISABELLE/CBA,
HERA, SSC, LHCが紹介され、日本ではTRISTAN, KEKB, J-PARCが
あり、荻津先生はいくつかの加速器の超電導マグネットの設計、製作に
関わっておられる。最近では、ニュートリノ振動実験のためのビームライ
ン用超伝導マグネットシステムの建設に従事された。ニュートリノ振動実
験は東海村から300km離れた神岡にニュートリノを送り込み、その間に
ニュートリノが性質を変えるところを観測するものである。ここではコスト
] と施工時間を短くするために、Combined Function Magnetという工夫を
されている。また今後の展開としては、マグネットの耐放射線性を上げる
こと、磁場を上げることが考えられる。

 次に山本明先生が、「『国際リニアコライダー』を目指した超伝導技術
開発と将来展望」と題して講演をされた。国際リニアコライダーの建設
候補地として、東北の北上と北九州の背振があることが紹介されて、
九州・西日本からの参加者は大変驚いた。冒頭、加速器という望遠鏡
を使って物質の最終構造を探る、という紹介をされて、宇宙の歴史を探
るロマンのある学問であることを強調された。加速器には電子と陽電子
を衝突させるタイプと、陽子と反陽子を衝突させるタイプがあり、現在ヒ
ッグス粒子を追いかけているLHCは後者である。電子と陽電子は構造
がシンプルなことから衝突がシンプルであるが加速が難しく、また円形リ
ングにすると、接線方向に放射光がでる。そこで、まっすぐなリニアコラ
イダー(線形加速器)の建設を考えられていると紹介された。超電導加
速空洞という高周波加速装置を最終的には16,000台も作る必要があり、
現在は試作を続けており、だんだんその製品品質が向上している段階
である。リニアコライダーの全長は31kmで、250から500GeVのエネルギ
ーで、最終的には50kmで1TeVを狙うということだった。背振山はひとか
たまりの花崗岩であり、安定であり建設をするための地質調査をされて
いる。2012年末に技術計画書が策定される予定ということだった。

このセミナーには多数の参加をいただき、参加者は講師を除いて50名
であった。

(九州工業大学 小田部荘司)